06.Nov.2020

チップの習慣

小さな感謝

チップの習慣

 さて、いくら置こうか? カフェやレストランでの会計の時にいつも思うこと。世界各国それぞれ違う習慣の一つに、この「チップ」がある。基本的にアルゼンチンではチップは義務ではないと聞いているし、ネットにもアルゼンチンはチップ不要国と記載されている。が、殆どのレストランやカフェなどでは半ば置くのが当然のようになっている。しかし、チップで渡す金額についてはとても曖昧で、目安はだいたい代金の10%。稀に、会計の時に渡されるレシートにサービス料金が含まれていることがあり、その場合チップは不要。でも、たまにチップを請求してくるウエイターもいて、そんな時は内心ちょっとムカつきながら、受け取ったお釣りの一部を渡している。チップを考慮して、お釣りをわざわざ細かいお金でくれるところもある。

 

チップの習慣

 こちらに来たばかりの頃、家族でカフェに行った時の事、お客が帰った後のテーブルの上にチップとして置かれているお金を目ざとく見つけた当時3歳だった娘が、テーブルを回ってそれらを集め、「お金見つけたから、拾って来た!」と意気揚々嬉しそうに持って来て、冷や汗をかいた事があった。もちろん、それは、平謝りに謝ってすぐにウエイターに渡した。ウエイターも子供に「集めてくれてありがとう」と言って笑って受けてくれたので、ホッと胸を撫で下ろしたが、とても恥ずかしい思いをした。その後、そのウエイターは「集めてくれたお礼だよ」と子供にキャラメルを持ってきてくれた。なんと粋なこと! 私たちは、チップを少々多めに置いて店を出た。

 

チップの習慣

 アメリカもそうであると思うが、ウエイターの給料は決して高くない。不足分はチップによって補われていることを思うと、気分良くサービスしてくれたウエイターに対しては、気分良くチップを渡したい。日本と違って会計はレジに行って済ますものではなく、座っているテーブルで行う。テーブルごと担当が決まっているので、チップもそのテーブルを担当してくれたウエイターに直接渡すか、出る時にテーブルに置いていくのが普通だ。考えてみれば、日本にも旅館の仲居さんに渡すお心付けというものがあり、どちらも受けたサービスに対して感謝の気持ちで渡すものだ。とは言うものの、日本ではチップの習慣はない。ブエノスの観光地にあるレストランのウエイターが、日本人旅行者はほとんどチップを払ってくれないと嘆いていたことがあるが、知ってて払わないわけではなく、そもそも習慣がないのだからうっかり忘れてしまうこともあるのだ。と、苦しい言い訳をしたことがある。サービスする側としては、やはりチップが一つの励みとなっているのだ。アルゼンチンを訪れた際には、少額でも感謝のチップ、よろしくお願いします。

 

チップの習慣