01.Aug.2020

犬の散歩屋さん

ただ今 コロナで閑古鳥

今回のCOVID19による都市封鎖で、幸せな思いをしてるのはきっと家で飼われているワンちゃん達ではないか、と思う。不要不急の外出が禁止される中、犬の散歩に関しては外出の禁止はされなかった。必要にかられ、たまに買い出しに外に出ると、公園の周辺に犬を散歩させている飼い主の姿をたくさん目にした。中には、きっと犬をダシに家からの脱出を図っている人もいたかもしれない。
アルゼンチン全土で約1100万匹、ブエノスアイレス市内だけでも約50万匹の犬が飼われているという。これは、2世帯に1匹の割合らしい。ペットの所有率が世界で最も多い国が、アルゼンチンなのだ。

犬の散歩屋さん

都市封鎖になる前まで、午前中に家を出ると、大抵数匹の犬がアパートの門脇の鉄柵に繋がてい て、お仲間が来るのをお利口に待っていた。お仲間を連れて来るのは、犬の散歩屋さんだ。一人で数匹の犬を連れ通りを歩いていく。ブエノスアイレスに来て、初めてこの光景を見た時は驚いたものだった。

程なく、それがれっきとした職業であることを知った。この職業に関する法律もある。散歩は一回 1時間〜 2時間で一人で散歩できる犬の数は 8匹まで。午前と午後の1日 2部構成。特別な訓練も免許も不要だけれど、市で発行する  1年ごと更新の許可証が必要だ。仕事ではなく、個人でする犬の散歩も 3匹以上はこの許可証が必要となる。この散歩屋さんを初めて見た時は、一人で10匹ぐらいは連れていたように思う。多分この法律ができる前だったのだろう。その頃(と言っても10年ほど前)は、この散歩屋さんは、簡単なお小遣い稼ぎみたいなものだったと思う。飼われているペットの増加とともに需要が大きくなるにつれ、この仕事を会社にしてしまった人が出て来た。何しろ、面倒な手続きもなく、資本金もタダみたいなものだ。犬の散歩に付加価値をつけて大きく成長していった。もちろん、今もこの様な会社組織に属さず個人で請け負ってる人も沢山いる。

犬の散歩屋さん

見ていると、一緒にお散歩する犬が大型犬と小型犬とにちゃんと分けられている。大型犬を一人で散歩させるとなると、相当な力が必要になってくる。なるほど、がたいの大きい強そうな男性が引っ張っている、と思いきや、なんと女性もいるのだ。すごい。大したものだ。思わずカッコイ〜ッと声をかけたくなってしまう。連れられている犬達もみんないい子にしてる。無駄に吠えたり落ちつきのなかったりする犬がいない。いや、私が見たのがたまたまそうだったのかもしれないが、とにかくみんなよく散歩屋さんの言うことを聞いてお利口さんなのだ。つい側に行って頭をなでなでしてあげたい気分になってしまう。

犬の散歩屋さん

日中仕事に出て、犬の散歩の為の時間が取れない人、ただ単に面倒な人、外に出られない事情がある人、飼い主側の事情は様々だ。もちろん信頼関係が大事だけれど、お金さえ出せば散歩の代行をしてもらえるのだ。一回が平均で150ペソ(日本円にして約200円)前後と、私からしたらそんなに安いの?と思える金額。おそらく毎日ではなく週に1、2回の割合で頼んでるのではないかと思う。

それが、都市封鎖に突入した3月中旬から見なくなった。皆、自宅にこもっているのだから、犬のために散歩をする時間ならたっぷりある。犬にとっても飼い主と一緒のお散歩の方が嬉しいだろうな、と勝手に想像して喜んでいる。本当なら、飼い主がお散歩をさせるべきなのだから。余談ではあるが、この都市封鎖が始まってから、里親探しの施設にいる保護犬、保護猫が、なんと初めてゼロとなったそうだ。一人で家にこもるよりペットと一緒の方が楽しいからね。通常に戻ったらまた増える、なんてことがありません様に!

犬の散歩屋さん