24.Oct.2017

「シフォン」とソーダワイン

 アルゼンチンのレストランに入って水を頼めば、ガス入りのミネラルウォーターにしますか、ガス無しにしますか?と訊かれることだろう。

 ガス入りのミネラルウォーターの消費者は世界に多くいるが、特にアルゼンチンではソーダ(炭酸入りの水)という存在が独特で、その登場は19世紀にさかのぼり、現在もアルゼンチンの食卓にのぼっている。「シフォン」というアルゼンチン独特の容器の登場に、知らない人は驚かされることになる。

「シフォン」とソーダワイン
Vino con soda

 1930年代までソーダ水は、この「シフォン」と呼ばれる容器に入れられて食料品店やバーで販売され、その後は各家庭へ馬で配達されるようになっていった。

 興味深いことに今日においても「シフォン」はトラックでの配達が行われている。店舗で販売されているものの中にはプラスティック製の使い捨てモデルも出てきたが、メインはやはりシフォンの容器を貸し出す形で、安く、味のある配達式となっている。

 多くのワイン専門家の議論の的になることだが、こどもの頃からワインを飲んで育つお国柄のアルゼンチンで、こどもがワインのソーダ割りを飲むというのは珍しいことではない。今日でもシフォンはアルゼンチンでは多くの家庭で認められ、食卓に欠かせない存在となっている。