22.Mar.2018

究極の路上グルメ

~ チョリパンの旅

究極の路上グルメ

 アルゼンチンの定番の肉焼きの集い「アサード」において最初のおつまみの定番として欠かせないのが他の肉類よりも早く仕上がるチョリパン。今回はそのチョリパンの持つポテンシャルについて紹介したい。

 そもそもチョリパンとは?その語彙はチョリソ(いわゆるソーセージ)とパンの合成語をさし、アルゼンチンやウルグアイでは単に「チョリ」と略されることもしばしばある。材料はフランスパンとパリージャ(炭火の肉焼き)台で焼かれるチョリソだけと極めてシンプル。

 チョリソは柔らかくジューシーで、地域にもよるが、ブエノスアイレス周辺では約70パーセントが牛肉で30パーセントが豚肉という割合になっていることが多く、他の地域においては燻製や日干しにしたチョリソが用いられることも見受けられる。味付けに欠かせないのがチミチュリというパセリ、にんにく、オレガノなどを混ぜた特性のソース。近年ではスーパーでの販売が拡大されるようになったこともあり、アルゼンチンの食卓には必ずといってもよいほど登場する。

 

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 チョリパンの起源はアルゼンチンのパンパといわれる平原部にいたガウチョが祝いの席でパンにチョリソを挟んで食べるようになった19世紀中ごろまでさかのぼる。後に都心部にもその習慣が届くようになると一気にチョリパンは人気を博するようになり、現在でも路上フードの帝王としての地位を築き続けている。

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 その人気の一因にはラ・プラタ川沿岸部に設置された路上のチョリパン屋台が大きい。ブエノスアイレスの衛生局からは長年に渡って疑問視されてきている存在であることは確かながら、あの独特の匂いにを嗅いでしまえば誰もがつられてしまうことは否めない。現在では消費者の要望に応えて衛生面の問題をクリアした正規のチョリパン屋台も出回るようにさえなったほどで、その人気に陰りがでることはしばらくなさそうだ。

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 チョリパンが人気を博している3つの特徴として、①調理の簡単さ、②早く食べられること、③低価格が挙げられる。そのあまりの人気ぶりに、政治家が民衆をデモに「動員」する際のおやつとしても定番となっているほどだ。ラテンアメリカ全体でもチリ、ボリビア、遠くはキューバにまでもチョリパンワールドは広がりつつある。現在ではバシオというリブ肉やボンディオーラと呼ばれる豚肉を使ったものや、卵や野菜を挟んだものも出てくるなどと少し付加価値をつけたものも登場するようになりバリエーションはさらに豊かになってきた。

 アルゼンチンを出発点に、果てしないチョリパンの旅は続く…。