24.Sep.2020

入り江におけるヒラメ

ウィルマル・メリーノ

入り江におけるヒラメ

上げ潮が一時間以上前に始まっており、マル・チキータの入り江に、ペヘレイが進入します。大陸に入り込む延長30キロのその汽水域は、世界でも指折りの独特な生態系を形成しています。これらエスカルドン・ペヘレイは、安心しきって小さな魚群に集まり、海と湖をつなぐ小さな開口部を通過していきます。多くは邪魔されずに素通りしますが、10~15㎝の魚の群れが通過すると砂地に渦巻きが発生し、海底から何かが出現して、10秒にも満たない間に伸長性の有る口先を伸ばし、獲物を丸呑みします。一匹失ったペヘレイの魚群は、恐れて逃げ去ります。ヒラメは、発見されることを避けるため、平べったい体の両側にあるひれを再び動かし、体色を海底にカムフラージュして部分的に埋まります。彼等の主な食料源である新たなペヘレイの来訪を検知するため、片側に寄っている両目だけを外に出しています。

こうして、ヒラメは周囲にカムフラージュして、口先のサイズに合った獲物を根気よく待って捕食します。その口先は、吸引漏斗状に伸びて、獲物を喉の奥までそのまま飲み込み、その間、良く開いた鰓は、余分な水を吐き出します。

その古典的な待ち伏せの場所は、穏やかな浅場であるため、ケケン・サラド川(ブエノスアイレス州のマリソル町付近の川)のように海に注ぎ込む河川の河口、或いは、サン・ブラス湾の幾つかの地点が、ヒラメを探すためには理想的です。しかしながら、ヒラメをあらゆる方法(生き餌、フライを使って)で釣るための最も伝統的な場所と言えば、国道第2号線上のブエノスアイレス市から南に400㎞、大西洋岸沿いの最も有名なビーチがあるマル・デル・プラタ市に近いマル・チキータの入り江です。

入り江におけるヒラメ

マル・チキータでは、町の対岸までボートで渡り、入り江の口にて(海と湖を結ぶ幅50m以下の細い水路)、立ち込みでヒラメを釣ります。また、入り江から数キロ入った、リゾート「サン・ガブリエル」と「フアン・イ・フアン」の正面でも釣ることができます。

オモリ付きライン、浮かすためのウキと15㎝以下のペヘレイを生き餌として掛けた2本針(上の針は一本針、下の針は三本針)を付けた長さ約70㎝のハリスからなる仕掛けを歩きながら投入して釣ります。仕掛けを投入してから、ゆっくり巻き上げます。円錐型のウキにより、ペヘレイが底から数センチのところを自然な動きで泳いでるようにします。ヒラメは、エサが近くを通過した時に、勢い強くアタックします。

入り江におけるヒラメ
Photo by Ale Nocetti
入り江におけるヒラメ
Photo by Ale Nocetti

なお、低回転でモーターを回した小型ボートで移動しながら、上述仕掛けを約50m下流に投入する、トローリングによる船釣りもできます。ボートが仕掛けを引きずるため、広範囲でヒラメを探し回ることができます。この方法は、快適で簡単な方法であるため、未経験者にとっては最適です。

しかしながら、最もスポーツ性の高い方法によるヒラメ釣りを望む場合は、フライ・フィッシングに頼らなければいけません。10cmのペヘレイに似せた「クローザー ミノー」型の擬似餌、ボチョーネスと称する、周辺に生息する一種のゴカイ類が重なって形成するキノコ状の石の塊に似た構造物に引っ掛からないように逆針(物に引っ掛からないように先が上を向いた)を使用してヒラメを誘うことができます。一度アタックすれば、ジャンプも含む方向転換が激しく、大きなランディング・ネットを用いてヒラメの陸揚げを手伝ってくれる仲間が必要となります。そして、針を外してリリースするか、多くの人たちが行うように、その美味しい肉を味わうために、幾つかを持ち帰ることになります。

入り江におけるヒラメ
Photo by Ale Nocetti
入り江におけるヒラメ
Photo by Ale Nocetti

体重が10㎏(通常のヒラメの体重は、2~5㎏)までに及ぶ個体の強さから、フライ・フィッシング用7/8のロッド、太いラインとティペットを使うことが好ましいです。擬似餌が、上述の通り10㎝のエスカルドン・ペヘレイを似せたものであるため、大きなフライを投入できる範囲の道具でなければいけません。生き餌を使って釣るためには、60~90グラムのオモリが投げられる、長さ2.10~3mのベイトキャスティング・ロッドが最も理想的です。リールは、使用者の好みによって使用するスピニング・ロッド、或いは、ベイトキャスティング・ロッドに合ったフロント・リールか、ロープロファイル・リールとなります。ラインについては、マルチ・フィラメントの場合、上述「ボチョーネス」に多く付着している小さなムール貝の鋭いエッジに擦れて簡単に切れる可能性があるため、引張強度9.35キロ、直径0.40㎜のナイロン製モノ・フィラメントが望ましいです。

入り江におけるヒラメ
Photo by Ale Nocetti

多くの渡り鳥の経由地でもあり、周辺地域に独特な美しさを与えている入り江の素晴らしい環境は、このスポーツ性に優れたフィッシングに最適な組み合わせです。砂丘に囲まれ、通常、深さ1mに至らない澄んだ塩水面では、足元の周りを泳ぐ魚の群れまで観察でき、天然の美しさを存分に楽しむことができる最高のフィッシング・サイトとなります。

この入り江の環境は、淡水の水系からの流入も受けるため、時間によっては、水面中に、ナマズやノゴイ等の淡水魚が多く占め、また、海水が入ると、ペヘレイ、ボラ、黒や黄色のシーバス、それから上述のヒラメが見られます。

入り江におけるヒラメ
Photo by Ale Nocetti

ヒラメ釣りの最も望ましい季節は9月から4月であり、より寒い時期には、漁獲量が多少低下します。

備考:

入り江口におけるボート渡りSr. Alberto 0223-155838938.

フィッシング・ガイド: El Tuba, 0223-156232017

入り江におけるヒラメ