04.Dec.2017

小さな街の大きな挑戦 / ウルグアイ

モンテビデオ市のシネルヒア・デザイン

 ウルグアイの首都モンテビデオ。対岸のアルゼンチンのブエノスアイレスの喧騒とは打って変わり、静かな街並みが続く。道行く人の中にもスーツを着ている人は皆無で、どこかあか抜けない。そんな街に国中からデザイナー達が集い、シネルヒア・デザイン(Sinergia Design)という興味深いスペースを提供し始めた。「Sinergia」とはスペイン語で「相乗・相互作用」を指す通り、ワーキングスペースの下にショップが連結していることが最大の特徴だ。

 2017年7月にオープンした建物も、米国式の郊外型ショッピングモールとは異なる。国の動脈的存在でモンテビデオ市内の真ん中に位置するトレス・クルセス・バスターミナルの近くにあった6000平米の1930年代のアールデコ様式のガラス工場を改築。ファサードや骨格はオリジナルをそのまま残してある。

 上階がデザイン関係を中心としたワーキングスペースと会議室、下階には上階でデザインされたファッション、家具、セレクトデザイン、カフェ、レコード、食材といった小さなショップが並ぶ。ディレクターのマホ・レイ(Majo Rey)さんによれば、「ショップのセレクトも彼らのスピリットを存分に反映できるようバランスを考えました。全店舗がここ一店舗のみの運営で、全てがMADE IN URUGUAY。デザインから販売に至るまでの流れを同じスペースに持ってくることで可視化させ、ウルグアイ・デザインのエッセンスを集めました」と語るよう、通常モンテビデオの街中ではみかけないハイレベルなハンドメイドデザインが集っている。

小さな街の大きな挑戦 / ウルグアイ
Directora de Sinergia Design, Majo Rey

 ウルグアイといえばもともとイタリア系移民が多いこともあってか、大きな企業の中で集団で働くよりも手作りにこだわる個性的な職人気質の人が多い国。その彼らが相互作用を起こして刺激しあえば大きな結果を生み出すことができることは想像に難くない。小さな国ならではの小回りの利く利点を生かしたMADE IN URUGUAYデザインが世界のデザイン界に大きな波を起こすかもしれない。

住所:Colonia 2235 esquina Acevedo Díaz, Montevideo, Uruguay